「ミラーあります」
ナロクに来て、少し慣れて来た頃から町のあちこちで目につくようになったものがあります。
小さな商店がたくさんあるこの町で、その店先に写真のようにバナナの葉っぱが吊るされているのをよく見かけるのです。 最初、何かのおまじないか(商売繁盛とか)、開店中のサインか、はたまた何かを加工中なのか、などと思っていました。 それで何気なくアンに聞いてみると、 「あれは、’ミラーあります’って意味だよ!」 ミラー!! 念のため、鏡の事ではありません。 ケニアではMiraaまたはKhat 等の名前で呼ばれる、覚醒作用のある植物です。 そういえば、道端で生の葉っぱをそのままむしゃむしゃ食べてる人の姿を、時々目にする。 一応この国では合法で、一部の地域では重要な換金作物にもなっているらしい。 サインがバナナの皮なのは、多分、ミラーを束にして売る時にバナナの皮が使われるからなんだろうと勝手に判断。 (湿度と鮮度を保つ為) エチオピアが原産で各地に広まり、今ではケニアの他にソマリア、イエメン、南アフリカなどでも栽培され、ヨーロッパへの輸出も盛んになっているとのこと。 (特にイエメンではGNPに占める割合がかなり高いという報告も。33%以上?!) 元々ケニアではメルー族が伝統文化の中で使用していたそうです。 本来なら結婚式などの特別な行事で年配の男性のみ口にしていたのが、今では若い男性や、女性までも常用するようになってきているらしい。 メルー族の住むNyambeneという地域は今でも栽培が盛んで、最高品質を誇るのだとか。 確かに、最近ミラーを口にしながら声をかけて来た男の人はメルー族だった。 (メルー語であいさつされても分からなかったけど) 他に、ミラー愛好家にはソマリア人も多い。 ソマリアはほとんどムスリムなので、お酒の代用品としての側面もあるようです。 アンの店でおしゃべりしてると時々ソマリア人が、 「コンニ~チハ。ミラーいらない?」(なぜか、ソマリア人に日本語であいさつされる事が多い。親日家が多い?) と、やってくる事があります。 毎回、丁重にお断りしています。 ミラーを食べると、幸福感や覚醒作用がある為か、トラック運転手、夜間営業のお店、あとは大学生に常用者が多い。 暴力的になるとか、体に大きな害があるわけではないようで、確かにミラーを食べてる人達ってなんとなくいつもニコニコしてる印象はあるかな。 でも、自分で試そうとは思えません。 だって、いい大人が道端で生の葉っぱを黙々食べてる姿って、ちょっとみっともないし。 それ以前に、そういうものって抵抗あるからね。 ソマリア人が去っていく後ろ姿を眺めながら、マサイ族のアンやキクユ族のムワンギに、 「二人はミラー食べた事ある?」 って聞くと、 「あんなもの食べた事ないし、絶対食べない!」 だ、そうです。
by chura-harufu
| 2010-04-24 07:47
| ケニア生活
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