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ケニアに恋して

フィールドワーク

今朝はちょっとやってみたい仕事があったので、いつもより早めに職場へ向かいました。

Defaulter Tracing

HIVは、今の医療技術では完治させることはできず、ARVというお薬を使ってウイルスを抑え込むのが精一杯。
ただ、この薬がうまく効いていればかなり健康な人と変わらない状態を維持する事ができます。
最近ではこれで寿命をまっとうする事ができるし、母子感染もかなりの確率で防ぐ事ができます。

ただし、一度飲飲み始めて途中で止めてしまうとウイルスに耐性ができて効かなくなってしまう。

なので、「必ず飲み続ける事」が重要なのです。

でもやっぱり、それをすべての患者さんが守れる訳ではなく、病院に来なくなってしまう人もいる。
そういう人を「デフォルター」と言います。

という訳で、今週は他の業務の合間に、大量にあるファイルの中からデフォルターを見つけ出す作業をしていたのです。

これをやってると、以前勤めていた睡眠クリニックの事を思い出す。
デフォルターの問題は共通してるなぁ。

で、2日かけてデフォルターを洗い出し、これまた大量に出て来たデフォルター(本当に驚くべき数!)をリストに起こしていく作業をやろうと思ったわけです。

この一連の流れは、電子カルテさえうまく動かせればちょちょいのちょい!だろうに・・・。


という訳で朝からデスクに張り付いて、昨日の晩家で作ってみたデフォルターリストに書きだす作業をしていました。


そこへカウンターパートのDASCOがやってきて、

「あ、マリエ、ここにいたのか。これからフィールドワーク(アウトリーチVCT)が出るよ!狭いけど、車に乗れそうだから一緒に行っておいで!」



おお!それは行かなければ!

前から行きたいと思っていて、月曜日にDASCOへ直接頼んでおいたら早速声がかかったのです。


「帰ったら続きをやるから、そこのファイルそのままにしててね!」

と、他のスタッフにお願いしつつ、カウンセラーさん達と車に乗り来む。


また、内容が良く分からぬうちに出発。


確かに狭い。
多分5人乗りの車に7人乗ってるからね。
昨夜の大雨の影響で道はかなり悪くて、タイヤが左右にツルツル滑り、まるでアトラクションのよう。
私はこういうの平気だけど、乗り物酔いする人には地獄かも。


で、着いたところはのどかな学校。

お仕事開始まで時間があるらしく、スタッフはみんな芝生の上でくつろいでいる。

フィールドワーク_a0155216_283584.jpg


平和そうに見えますが、頭の上になぜか虫(羽アリみたいなやつ)がたかってて、私はそれを追い払うのに必死。
そして、日差しが強くて、ああ、焼けてしまう・・・。


どうもここは、孤児たちが通っているらしく、年齢も様々な子供達がわらわらと出て来ました。

私の姿を見つけて、珍しかったのでしょう、すごい人だかりになってしまいました。

フィールドワーク_a0155216_1572627.jpg


「Habari zenu?」 (こんにちは。元気?)

と言うと、

「Nzuri!!」 (元気だよ!)

と、元気いっぱいのお返事が。

今回のクライアントはこの子達です。


対象の子供たちが教室に集められ、一人一人に検査キットを配り、スタッフが机を回って検査していく。

私はそれを配るお手伝いと、バッファーを滴下していく係を担当しました。

貧血検査を思い出す。


ほとんどの子供達が騒がずおとなしく検査を受けてるので感心しました。

フィールドワーク_a0155216_201950.jpg


ただ、一番小さな、多分2、3歳くらいの男の子はやっぱり怖がって泣き出してしまいました。

そりゃあ、そうだよね。 私だって、怖いもん。

他のスタッフが指を刺し、押さえてる間に私がキットへ血液を採取。

その後もシクシク泣いてる姿がなんとも切なげ。

よしよし、と頭をなでていると、隣に座っていた、その子よりちょっと大きな男の子(4、5歳くらい)が、自分の服の袖で涙を拭いてあげてる。

そのやり取りに胸がキュンとなりました。

なんか、いいな。



今日は50人の子供達を検査し、結果は全員陰性。
ホッとする。

ただ、このやり方ってどうなんだろう。
陰性ならいいんだけど、陽性だった場合、どう対処するのかな。
いじめとか、そういうの問題は起きないのだろうか。

新たな疑問は湧きつつも、初めてのフィールドワークが終了。


他にどんな場所へ行ってるのか、どこの団体の支援で動いてるのか、カウンセリングの流れや、陽性者への対応はどうなっているのか、気になる事はたくさんあるので、そのうち調べてみようと思います。
by chura-harufu | 2010-05-13 02:03 | HIV/AIDS
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青年海外協力隊(エイズ対策)としてケニアでの生活をお伝えします

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